浜松動物園 最終話 [旅]
最初はすぐ見つかると高をくくっていたが、徐々に焦りだす。みずきの姿が本当に見当たらない。更なる危機到来。やべぇ、道が二手に分かれている。ここで私と奥様は目を合わせうなずく。阿吽の呼吸で『みずき捜索作戦』がスタートした。
つかさを抱えた私が右の道、奥様が鳥小屋方面へ。坂道を下っていくが雑踏にまぎれた小さなみずきを見つけることが出来ない。かなり進んでいるのに・・・はたまた彼は道を大きく外れて森の中にでも突入したのではないのか・・・まさか誘拐・・・様々なよからぬ予想が押し寄せる。気がつけば私は大きな声でみずきを呼んでいた。「どこだ?みずきっ!!」
その時つかさが遠く前方を指差す。まさか見つけたというのか?半信半疑でつかさの指の先へ視線を向ける。
いた。最初に遊んでいたのアスレチック近辺でこちらを向いている。悪気も何もない、ただ遅い家族を待っている体でそこに立っていた。「みずき、早いよ」そう話かけると、みずきはいたずらな表情を浮かべまた走り出した。一瞬でその姿を見失う。
親と子供の関係なんてこんなものかも知れない。私がいなければ何も出来ないと思っていたみずき。そんな彼は私の手をすり抜け悠々と走りまわり姿を消す。必要なのは子供の親離れではなく親の子離れなのかも知れない。そしてこの後、もう一度みずきを見つけたのはつかさ、親と子より兄弟の繋がりのほうが強いのかと更にへこんだ。ともあれ無事に動物園をあとにすることは出来た。
あ、奥様を忘れてた。奥様は私の連絡が遅かったために、同じ道を何往復もして探し続けていた。見当違いではあるが、母の愛情は実に深い。子供に伝わるかどうかは別として・・・。
これからもみずき、つかさはどんどん成長し、親から離れ、色々な体験を積んでいくことだろう。寂しくもあり、うれしくもある。そんなみずきは帰りの道すがら車内で新たな体験をしていた。これは私自身、未経験の行為。
それは「ペットボトルにおしっこ」・・・。これを落ちとして今回のお話はおしまいにしよう。
END
タグ:浜松動物園
親離れでなく子離れ。
深い。。。
でも、どちらも考えようによっては、
しなくてもいいのかななんて思ったりもします。
度合いにもよるけれど。
つかず離れず、そんな感じ?
今回も楽しく拝読させてもらいました。
ありがとうございます。
by tengonsan (2013-05-28 13:59)
乱文失礼しやした~
by パインサー野郎 (2013-05-29 12:19)