サヨナラバス 最終話 [不思議話]

走り続けるサヨナラバス、停まらないなら降りてやる。

私は乗降口を探したが見つからない。窓と座席しか存在していないようだ。頼みの車窓もはめ殺しの状態で開閉は不可能だった。文字通りの八方塞がり、このまま死後の世界へ連れて行かれるほか道はないのだろうか・・・。徐々にあきらめに近い感情が私を支配し始めた。


床に転がる携帯を手に取る。まだ通話状態だ、ヤツのもしもしが続いていた。

「もう、どうしようもないのですね。」念のために最後の確認をとる。すぐに「はい」と無機質な返事が返ってきた。むしろ吹っ切れた気がした。


「最後に家族に伝言をお願いしたいのですが・・・」まだ年端もいかない兄弟二人と奥様を残して突然死を迎えただろう私。最後にできるのはメッセージを残すくらいしかない。

「わかりました。ではどうぞ」再び無機質な声。ただコイツは仕事は無難にこなす、きっとしっかり最後のメッセージを届けてくれるはずだ。


しかし、ここで言葉が出てこない。伝えなければならないことは山のようにあるはずなのに・・・涙はとめどなく出てくるが言葉は・・・唇を噛む。



 「ごめんなさい」 



やっと搾り出した言葉だった。そう言い終えて私はため息をつく。安堵なのかあきらめのそれなのかは定かではなかった。ただ、サヨナラバスの座席に深く座りなおす。自分の置かれた運命に向き合うように出口のないバスの車窓を眺めながら。



っと、いったところで目が覚めた。

左右には一緒に寝ていた息子たちが静かに寝息をたてていた。悪夢の後、夢でよかったと思うことは昔からあったが、今回ほどの衝撃と安堵感は今までにないレベルだった。あまりの恐ろしさで夢の内容をそのままブログにしてしまった。乱文失礼しました。


ただ、次の日の出社中に私は交通事故を起こしている。助手席側後方に車が突っ込んできたのだ(私の不注意が原因なのだが)。あながち夢ではなかったのかも知れないと思うと背筋が凍りつく体験だった。



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コメント 2

tengonsan

ごめんなさいだなんて、
何言ってるだか。

パインサー野郎さんは、
息子さんたちのとっての、
世界随一のパパさんです。

でも交通事故には気をつけてね。
色々な点と点が線で繋がりました。
by tengonsan (2014-01-04 19:48) 

パインサー

お付き合いありがとう!

ソコシリ頑張ってね
by パインサー (2014-01-05 11:07) 

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