トイ・ストーリー Anotherside 3 [昔話]

私の最寄駅はJR藤枝駅だった。

その駅北。アーケードの商店街が道の左右に並ぶ、通称れんが通り。

そこに2件のおもちゃ屋があった。


おもちゃのMとBとしておこう。

ちなみにMが駅寄り。Bが200m程奥に隣接していた。当時の私は小学校中学年。自転車を乗り回すようになり、しょっちゅうこのれんが通りや、駅近辺に出没。暇さえあれば、大好きなおもちゃ屋や古本屋に入り浸っていた。


2件のおもちゃ屋の勢力としては、Mは賑わっていて、Bはいつも閑古鳥が鳴いている状態。私個人的には、賑わうMより静かなB派だった。ただ、ほとんどが冷かしであって、売上に貢献した訳ではない。ただただ、お店にいただけのウザいガキだった。

それでもベレー帽をかぶったメガネの優しい店主は嫌な顔ひとつせずに、私の相手をしてくれた。


そんなある日の事

私は毎度のようにMを覗いた後、Bに行った。その時はファミコンのサッカーというソフトが発売されたばかりで、どこのお店も品切れ状態。そんな中、2人の中学生位の少年がBに飛び込んできた。


開口一番「サッカーのソフトありますか?」

彼らは方々歩き回った挙句、見たこともなかったBを見つけて飛び込んできたのだろう。半分は諦めた表情を浮かべていた。あるはずがない。先ほど隣のMでも「売り切れ・予約受付」となっていたのだ。




あるよ




おじさんはにっこりと笑った。


「本当ですか!?やった~!!」


2人はジャンプして喜んでいた。それを眺めるおじさんもとっても嬉しそうだった。私も関係ないのに嬉しくなった。Bの良さをこの2人も分かってくれたことだろうと、まったく関係ないくせに、上から目線で思った事を今でも覚えている。


ただ、裏を返せば、それだけBの営業状況は厳しかったのだろう。

それは徐々に私にも分かってくる事実だった。


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コメント 1

tengonsan

うんうんうん。。。

続きが気になる気になる。。。
by tengonsan (2012-02-04 20:19) 

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